現在、自宅で日用品のほとんどは特定の商品などにこだわらなければ、最寄りのコンビニで手に入るようになっています。とても便利な世の中です。
コンビニで取り扱っている商品数は店舗によってばらつきはあるものの約2500種類ほどだと言われています。2500種類もの商品を管理するのは大変です。しかし商品の管理は売上を左右する重要な要素です。
近隣に住むお客様:Aさんの体験
週末に洗濯洗剤を買うのを忘れていて使いきってしまった。でもどうしても今日中に洗濯がしたいので最寄りのコンビニに洗濯洗剤を買いに行ったが、商品が売り場に並んでいない。
店員さんに聞くと”明日入荷します”と言われる。
”ほしいのは今なんじゃ”と心の中でつぶやく…
結局コンビニをはしご、もしくは少し離れたドラッグストアに買いに行くはめに。
店からしたら明らかにチャンスロスです
このAさんはなぜ最初にコンビニに行ったのか?家から近いからです。今すぐ必要なものが一番早く手に入る場所はどこかと考えコンビニを選んだのです。近くにあってすぐ買えるのがコンビニの武器です。商品価格や種類ではドラッグストアやスーパーには勝てません。
今すぐに必要なものがすぐ買えるという武器をうまく使うためには常にほしい商品が売られている状態を作る必要があります。そのためには商品の管理が重要になります。
商品の管理ができていると品揃えが充実します。品揃えの充実とは、ただ単に商品数が多いだけでなく、各店に来店するお客様の必要とするものが揃っていることです。理想はいつ行っても必要なものが適量数揃っている売り場を作ることです。
理想の売り場に近づけることができればお客様の満足度が上がります。では満足度が上がるとどうなるか?
・客単価(1回の買い物で購入する商品の合計金額)が上がる。
・リピート率(客数)が上がる。
その結果、売上が上がる。
とてもシンプルです。
ではお客様の満足度を上げる品揃えとは何かを考えていきましょう。
~プロフィール~
コンビニ未経験から店舗責任者として勤務
店舗をよくするために試行錯誤を繰り返す
3年目に売上対初年度比120%を達成、店舗別売上で支店1位になる
4年目以降も110%台をキープ
勤務歴8年
コンビニに来店するお客様のほとんどは”特定の商品を買う”という目的をもって来店します。来店したお店で目的の商品がなかったら満足度は下がります。ですので商品はできるだけ品切れが起きないように発注する必要があります。賞味期限が長いものや日用品のような賞味期限がないものは特にしっかりと品揃えする必要があります。
では自店でも行っている、お客様満足度をあげるために必要な商品の管理方法を紹介します。
商品の管理方法
その①:適量を知る
その②:在庫を管理する
その③:売り場のレイアウトを変更する
その④:直接売り場を見てチェックする
では順に説明していきます。
その①:適量を知る
まずは商品の適量を知りましょう。CVS本部が推奨する棚割りを見てもわかる通り、日用品は半年や一年スパンで採用商品変更やリニューアルなどで取り扱う商品が変わっていきます。取り扱う商品が変わる度に、カットされた商品は不良在庫になってしまいます。不良在庫はたいていの場合、値引販売または廃棄となります。このリスクを最小限にする為に、店舗の発注者は新規採用の段階で日用品全般の発注設定を最低発注数にしかしなくなります。
この最低発注数に設定された商品の中にはお客様から一定のニーズがあるにもかかわらず、頻繁に品切れになりチャンスロスが発生している商品が存在します。まずはその商品を見つけ出しましょう。ストコンの品切れ分析などのツールを使えば探しやすいでしょう。
対象となる商品を見つけたらその商品の入荷スパンなどを考慮して自動発注設定の数量を調整していきましょう。
その②:在庫を管理する
次は在庫の管理です。自動発注設定の数量を上げると、今までは最低数量しか発注していなかった商品の入荷数量が上がるので、入荷した商品を売り場に並べきれない状態も発生することでしょう。バックヤードに在庫を保管できるスペースをしっかりと確保しましょう。
在庫を保管すると売り場は品切れしているが、裏には在庫があるといった状態が発生する可能性が高くなります。こういった状態になってしまうとお客様は商品を買うことができないので、結局チャンスロスになってしまいます。補充のタイミングや回数にも注意が必要です。自店では1日に最低3回は補充する時間を設けています。
その③:売り場のレイアウトを変更する
在庫置き場がいっぱいになったり、補充の回数を増やせない場合などは売り場のレイアウト(棚割)を変更しましょう。商品の列数を増やす(フェースを広げる)のです。入荷してきた商品がすべて収まる広さを確保できたら、バックヤードに一時保管する在庫がなくなり、補充する手間もなくなります。
CVSの日用品の棚割りはだいたい1商品1フェースが多いと思いますが、自店の売れ筋の日用品の中には4フェースとって展開しているものもあります。フェースを広げるとさらに販売数が伸びることもよくあります。
売れ筋商品のフェースをひろげるためには他の商品の売り場を削らなくてはなりません。日用品の中には全く売れない商品が存在するのも事実です。その①で紹介したツールや販売実績などを活用して、売れない商品は売り場からカットしていきます。
カットするときの注意点はカットする商品は必要最低限にすることです。やはり商品の種類もお客様満足度を上げる大事な要素なので、たくさんの商品をカットしてしまうと結果的に満足度を落としてしまう可能性があるからです。バランスを考えながら調整しましょう。
現時点の棚割に余裕のある店舗はアイテム数を維持したままレイアウトを工夫することで売れ筋商品のフェースを増やすこともできるかもしれません。アイテム数を維持して売れ筋商品のフェースを増やすことができればお客様満足度も保てるので良いかと思います。
レイアウト変更をする際は実際に陳列した商品が見やすいか?取りやすいか?などお客様視点も交えながら変更してください。いくらたくさんの商品を陳列できても、見えにくく取りずらいと販売は伸びません。
その④:直接売り場を見てチェックする
その①で紹介した品切れ分析ツールの活用と一緒にやってもらいたいのが、売り場を直接確認していく作業です。売り場を確認することでリアルな品切れや商品棚の現状を知ることができるからです。
確認するのは入荷前と入荷後です。入荷の前後両方でチェックするのにはちゃんと意味があります。
入荷前に確認する理由
入荷前の確認は前述した内容を補強するために行います。リアルに適量を確認する為です。品切れが発生している商品が一目でわかります。
お客様が買い物に来る時間はそれぞれです。入荷前にしか買い物に来ないお客様にもよい売り場を提供できているかを確認することもできます。欠品している商品は再度、適量を考えましょう。
それ以外にも在庫があるのに補充されていない商品がある場合も考えられます。直接チェックすることで状況把握しやすくなります。最終目標は”お客様がいつ来店しても、ほしい商品が店頭に適量並んでいる”ことです在庫があるのに補充されていなければ本末転倒です。在庫の補充頻度、時間帯をみなおしましょう。
入荷前のチェックで注意してほしいのは、その商品がどのように売れたかです。頻繁に売り場をチェックしていると、いつもはさほど売れていない商品が品切れしていることもあります。ジャーナルなどで購入履歴を確認するのもいいでしょう。もしかしたら一人のお客様が同じ商品を大量に購入している可能性があるからです。
売れているからといって即発注数を増やしてしまうと、その後売れ残ってしまうこともあります。入荷前の売り場チェックを2,3回行って毎回欠品しているものだけを修正するような感覚でいいかと思います。
入荷後に確認する理由
入荷後の確認は、本部の商品カットを確認する為に行います。日用品を含めたドライ系商品の発注は自動発注に頼っている店舗がほとんどでしょう。自動発注のデメリットとして挙げられるのは、実際の売り場の状況が把握しづらくなることです。
自動発注は実際の売り場や商品の販売実績を確認しなくても発注できるので日々の作業効率は良くなります。絶対活用するべきツールだと思います。自店でもフルで活用しています。しかしその半面、売れ筋商品の欠品を見逃してしまう可能性があるのです。
売れ筋商品の欠品を見落とさないためにも入荷後の確認は大切です。CVS本部の都合なのか、メーカーの都合なのか、詳しいことはわかりませんが、定期的な商品変更時期でないにもかかわらず、急に商品がカットになり発注できなくなっていることがあります。
カット日が近づくとストコンでカット商品一覧などを確認できますが、在庫が残っているものは在庫が完売するのを待つ必要があります。待っている間に忘れてしまって、欠品状態が続いてしまいます。
だいたいの場合、類似商品が新規で採用になっているのでプライスカードを差し替えて新しい商品を発注しましょう。新規で採用になっていない場合は、既存の類似商品の中から売れそうな商品を発注しましょう。
この作業はかなり重要です。商品カットに気づかないまま営業している間、ずっとチャンスロスが発生しているからです。極端な話、今まで週に平均10個売れていた1000円の商品が3か月前にカットになっていていることに気づかないでいたら、1つの商品の欠品だけで約12万円の売上を逃していることになるからです。
1つの商品で12万円です。そのようなカットになっているのに気づかずに放置されている”すっからかんのフェース”がお店にはいくつ存在しているのか?確認しない理由がありません。確認していない店舗はすぐに確認してください。
今回は商品の管理、品切れさせない売り場を作るための商品管理方法の解説でした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。生き残りをかけた戦いはもう始まっています。できることから実践していきましょう。
~Let’s start now from what we can do~